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vol66
2026/07/09

「あ~ごめん!」「大丈夫、大丈夫!」
自治会館のドアを開けると、そんな元気な声とパッと弾けるような笑顔が広がります。ここでは、滋賀県生まれのニュースポーツ「フリーピンポン」の練習が行われています。
一般的なスポーツにあるようなピリピリした緊張感は一切ありません。あるのは、お互いを気遣い、ミスさえも笑い合える温かい空気感。子どもから90代まで、みんなが夢中になるこの競技の魅力をご紹介します。
フリーピンポンが生まれたのは1998年のこと。「健康で長生き」をテーマにみんなで楽しめるスポーツをと、辻本昇氏が考案されました。
この競技に出会ってちょうど20年になるという池上さんは、始めたきっかけをこう語ってくれました。 初めて見学したとき、目に飛び込んできたのは思いがけない光景でした。 ミスした人ではなく、相手が捕りにくい球を上げてしまった側が「ごめんなさい」と謝っていたのです。 ミスを責めるのではなく、相手への思いやりを大切にするその姿勢に、池上さんは強く心を動かされたそう。
フリーピンポンは、いつもの卓球台とネットを使いますが、ルールはとてもユニークです。卓球よりも一回り大きな専用ラケットと、ふんわり軽いスポンジボールを使い、1チーム4人でコートに入ります。男女の組み合わせは自由です。
一番の特徴は、勝ち負けよりも“みんなで気持ちよく続ける”ことを大切にしていること。スマッシュは禁止です。 「①サーブ(対角ライン)⇒②相手正面⇒③相手対角ライン⇒④相手正面」と、4人が決めた順番を意識しながら、ボールを打ち返します。基本はとにかく「相手のことを考えて、打ちやすいところへボールを返す」こと。 お互いにパスを繋ぐような、心と心のコミュニケーションです。
1チーム15分間の持ち時間の中で「最高で何回続けてラリーができたか」を競います。 一見簡単そうだけれど、思ったところへ飛ばすのは意外に難しく、初めての人だと20回やり続けるのも一苦労です。大会では1300回もラリーが続くそう。
激しい動きはありませんが、15分間集中してプレーすると、じわっ~と気持ち良い汗をかきます。ボールを目で追いながら、力加減を考え、みんなで声を掛け合わせてラリーの回数を数える……。これが、体にとっても脳にとっても、とても良い刺激になるんです。
でも、参加者の皆さんが一番楽しみにしているのは、やっぱり「みんなに会えること」。困ったときは助け、新しい仲間もすぐに笑顔で迎え入れます。 そんな素晴らしい人間関係があるからこそ、ここはみんなの「心の栄養」であり、「やすらぎの場」になっています。 休憩時間のおしゃべりも、ラリーと同じくらい弾けます。
身近な場所で誰でもすぐに始められるフリーピンポン。 現在は滋賀県内を中心に10箇所以上で楽しまれていますが、「もっと身近な自治会単位や、滋賀県中、そして日本の中にこの輪が起こってほしい」と、メンバーの皆さんは未来を描いています。
ネットを挟んで行き交うのは、ボールだけではありません。相手への思いやりが自然と行き交い、今日もコートはあたたかな笑顔でいっぱいです。
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