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vol42

頑張る母親たちの拠り所。「YUMEMURA」が育む、地域の子育て

2024/01/26

明るい日差しが差し込む窓辺で、伸び伸び遊ぶ子どもを眺めながら談笑する母親たち。ここは、「学ぶ」「集う」「結ぶ」「休む」の4つのテーマで子育て支援を行う「YUMEMURA」です。

「SNSが発達し、子育てに関する情報は簡単に手に入るようになりましたが、どれだけ時代が変わっても、子育てにはリアルに繋がれる場所が必要」と話すのは、YUMEMURA代表の西村さつきさん。

取材に訪れた日は、朝から雪が降る寒い日でしたが、“親子の居場所”には陽だまりのような穏やかな時間が流れていました。

立ち上げから5年で1,000人以上の親子に寄り添う

大津市の伊香立公園のすぐ近くに立つ木の家のモデルハウスが「YUMEMURA」の拠点です。

活動は主に火・水・木曜日の週に3日。「学ぶ・集う・結ぶ・休む」のテーマに合わせた講座やワークショップなど、さまざまなプログラムが開催されています。利用は事前予約制で、母親でなくても、父親や祖父母など、子育てに関わっている人なら誰でもOK。

活動の主軸は、代表の西村さつきさんと、和佐野奈津子さん、濱野香奈子さんの3人です。これまでの5年間で延べ1,180人もの親子に寄り添い、見守り続けてきました。
西村さんは産後ケアを専門とする助産師。そして、和佐野さんは保育士、濱野さんは中学校で音楽教師をしていたそう。それぞれ違った立場ではありましたが、子どもの健やかな成長のためにも、母親に寄り添った支援をしたいとYUMEMURAを立ち上げました。

今回は、3人にYUMEMURAの目的や活動、今後の展望についてお話を伺いました。

母親たちの居場所を作りたい!

母親の支援をやりたいというのが3人の共通の目的だったんです。助産師、保育士、音楽教師と立場は違いましたが、子どもたちの課題の裏に母親の負担やしんどさが見えることが多々あって。子どもの安全基地にお母さんがなれることが理想ですが、じゃあそのお母さんを守ってあげられる場所はあるのか。頑張っているお母さんにこそ、ちょっとひと休みできる居場所が必要なんじゃないか。子育てで生じる悩みや不安に寄り添い、「あなたはひとりじゃないよ」と言ってあげたくて、5年前にYUMEMURAを立ち上げ、活動を始めました。

 

4つのテーマで豊かな子育てサポート

子育ての悩みと言っても色々あるので、うちでは大きく4つのテーマで関わるようにしています。

ひとつめは「学ぶ」。子育てって意外と誰も教えてくれない。だから不安になることも多いですよね。子育てに正解はないのかもしれないけど、赤ちゃんの発達講座や栄養講座など、学ぶことで子育てが少し楽しくなれる情報を共有したいと思っています。

ふたつめは「集う」。SNSが普及し、子育てに関する情報収集や、悩みや体験の共有は外にでなくてもSNS内で完結するかもしれません。でも、そんな時代だからこそ、お母さんがひとりじゃないと感じられるリアルな場所が必要なんじゃないでしょうか。なにげないお喋りをするだけで、孤独が和らぎ、リフレッシュできたりします。

みっつめは「結ぶ」。レンタルボックスやマルシェを提供し、ものづくりが好きなお母さんたちが社会と繋がれる場を提供しています。子育てはなかなか評価されづらいものですが、社会と繋がることで自分の存在を再確認したり、力を発揮することができます。

最後は「休む」。お母さんたちは日々頑張っています。その頑張りを認めてあげることが大切。疲れたときには休むことも必要なので、産後ケアや行政の一時預かり事業で受け入れられない、10ヶ月未満の赤ちゃんの一時預りなどを行っています。

時代は変わっても、子育ての根本は変わらない

子育てにはやはりリアルな人間関係が大事だと思います。子ども同士は衝突がつきものですが、親が周りとコミュニケーションをとっている姿を見て、子どももコミュニケーションを学びます。SNSがどれだけ発達しても、子育てにはやはりリアルな人間関係を築くことが大事だと思います。

私たちが子育てしていた頃は「公園デビュー」なんて言葉もあったりして、ママ友を求める傾向が強かったですが、いまのお母さんたちを見ていると、SNSなどで気軽につながりをもてていると感じます。その一方で、SNSの中に潜む承認欲求に振り回されたり、疲れたりしているお母さんが多い。だから、ここに来てくれたときは、まずお母さんの頑張りを認めてあげたい。母親が安心できる、実家のような存在でありたいと思っています。

子育てしたくなるまちへ

始めた当初にYUMEMURAに通ってくれてたお母さんが、いまはワークショップの講師をしてくれるなど、サポートしてくれる人も増えてきつつあります。これは5年続けた結果で、続けることができたのは必要とされているからだと思います。

本来、子育ては楽しいものです。それがしんどくなったり、辛くなるのはもったいない。世界で起きている戦争を止める力は私たちにはありませんが、目の前の子どもやお母さんを救うことはできるかもしれない。そんな手の届く範囲の支援の輪を広げたい。そして、地域全体で母親や子どもたちを見守り育てられる「子育てしたくなるまち」になればいいなと思っています。

YUMEMURA

住所 〒520-0352 滋賀県大津市下在地町478-3
URL https://satsuki-j.amebaownd.com/pages/6327513/page_202208100805
主に火曜・水曜・木曜(天候や場所の都合で変更があります。事前予約をお願いします)
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